(2)度数分布の分散、標準偏差など
      Variance, Standard deviation, etc. of frequency distribution

 
変数が幅のある階級に区分されているときは、計算用の変数は階級の代表値とします。
階級の代表値が不明のときは、階級の中央値などを階級の代表値とします。
階級の変数の総和が示されているときは、階級の代表値を割り出すことができます。
分散(Variance) 階級の代表値を変数として、先ず平均を求め、次に変数と平均の差 (偏差)の2乗を作り、それに度数を掛けて合算し、度数の合計で割って求めます。 あるいは変数の2乗に度数を掛けて合算し、度数の合計で割って変数の2乗平 均を求め、これから平均の2乗を引いても、同じ結果となります。どちらの方法 でも構いません。
変数が階級に区分されていないときや、階級に区分されていても階級に幅が ないときは、その変数で計算します。
標準偏差(Standard deviation) 分散の平方根(正の方)です。
変動係数(Coefficient of variation, Relative standard deviation) 標準偏差を 平均で割って求めます。変動係数は相対標準偏差ともいいます。
計算例(1) 次表は、ある果樹園から1季節に出荷された桃の     重さ(g)の分布です。(階級は、以上−未満)
       階級@  中央値A  個数B 重さの計C 160 -170 165 93   15454 170 -180 175 165    28658 180 -190 185 252 45986 190 -200 195 318 63003 200 -210 205 355 73100 210 -220 215 293 63019 220 -230 225 176 38932 230 -240 235 132 31120 240 -250 245 84 20298  ---------------------------------------- 計 -
     階級の重さの計を用いた場合、桃の重さの分散は、関連ページにより平均が 203.19593であったので 変数をそのまま2乗する方法をとれば、 {(93*166.172042+165*1173.684852+252*182.484132+318*198.122642+ 355*205.915492+293*215.081912+176*221.204552+132*235.757582+ 84*241.642862}/1868-203.195932=402.9372(g2)
標準偏差は √402.9372=20.0733(g)
変動係数は 20.0733/203.19593=0.09879
となります。
階級の中央値を用いた場合      {(93*(165-203.32976)2+165*(175-203.32976)2+252*(185-203.32976)2+ 318*(195-203.32976)2+355*(205-203.32976)2+293*(215-203.32976)2+ 176*(225-203.32976)2+132*(235-203.32976)2+84*(245-203.32976)2}/ 1868=416.2681(g2)
標準偏差は √416.2681=20.4027(g)
変動係数は 20.4027/203.3298=0.10034
となります。
関連応用問題
計算例(2) F氏宅の60日間の電話の呼数の分布が、次表の通りのとき、 呼数の分散を求めるには、呼数の2乗に日数を掛けて合算し、日数の     合計で割り、別に求めた平均の2乗を引いて求めます。
1日の呼数 X 日数 f 0 5 1 8 2 10 3 12 4 9 5 7 6 4 7 3 8 1 9 1       ------------------- 計 60
呼数の2乗平均は
 (0*0*5+1*1*8+2*2*10+3*3*12+4*4*9+5*5*7+6*6*4 +7*7*3+8*8*1+9*9*1)/(5+8+10+12+9+7+4+3+1+1) =15.1833
平均(関連ページ)の2乗は 3.28332=10.7803ですから
    分散は
=15.1833-10.7803=4.4031(呼2)
となります。
標準偏差は √4.4031=2.0983(呼)
変動係数は 2.0983/3.2833=0.6391
です。
   −−−−−−−−−−−−−−−−       理論
K個のデータ Xi (幅のある階級に区分されているときは、その中央値 など)とそれぞれに対応する度数 fi
X1,X2,....,XK f1,f2,....,fK
であるとき、X の分散は   (1)        (Fは各 fiの合計)
と表わし、これを分散といいます。この式は
=(ΣfX2)/F-{(ΣfX)/F}2 (2)
と変形できます。式 (1),(2)は数理的に同じで、どちらを使っても構い ません。実務では (2)式がよく用いられます。
標準偏差は
σ=√(σ2)
変動係数は
CV=σ/
です。   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
分散などの意味と計算手順のまとめ

意味:分散は散布度(2次)の基本的尺度、主に理論で使用。
標準偏差は散布度(1次)の基本的尺度、主に実務で使用。
変動係数は散布度(0次)の基本的尺度、主に実務で使用。

計算手順:1、データから F, ΣfX, ΣfX2 を求める。
2、これらを上式 (2)にあてはめる。
3、分散、標準偏差、変動係数の順に求める。

    練習問題(1)
G氏の週ごとの晩酌の頻度は下表の通りです。 晩酌の回数の分散などを求めなさい。
回数 X 週の数 f 0 1 1 5 2 7 3 14 4 13 5 8 6 3 7 1 ---------------- 計 52
[答(計算値) 分散 2.2056(回2)、標準偏差 1.4851(回)、変動係数 0.4339]
練習問題(1)の関連ページ
練習問題(2)
 ある村に、次のような世帯統計があります。      世帯人員の分散などを求めなさい。
      世帯人員規模  世帯数  世帯人員          1 52 52 2 449 898 3 1048 3144 4 926 3704 5 530 2650 6-7 270 1728 8-10 24 205 11以上      1 12
[答(計算値)分散 1.7451(人2),標準偏差 1.3210(人),変動係数 0.3518]
   (この問題では、世帯人員規模6人以上の階級の代表値は、世帯数と 世帯人員から割り戻す)
練習問題(2)の関連ページ

統計計算例集目次