仮説の採否の領域

「仮説の採否の領域」は、仮説に基づく検定統計量の確率分布の中で、「採択域」、「棄却域」
として決められます。

採択域と棄却域は互いに排反的に決められ、重なることなく、双方で検定統計量の全域を占めます。
よって、採択域を先に決めれば、棄却域はその残余域として定まり、棄却域を先に決めれば、採択
域はその残余域として、おのずから定まります。

採択域と棄却域をどう決めるかは、検定者の意向によります。一般に多様な決め方があり、優劣が
区別できます。よい決め方とは、検定の際に生ずる2つの誤り(第1種α、第2種β)が共に、より小さ
くなるような決め方をいいます。そう決めると、仮説の採否と仮説の内容との関係が、より尤もら
しくなります。

検定統計量が、検定仮説に基づく確率分布の上で棄却域に入る確率は、対立仮説に基づく確率分布
に上で棄却域に入る確率よりも小さいことが望ましいです。なぜなら、検定仮説が棄却されたとき、
これにとって替わる対立仮説が、標本の実現との関係で、より尤もらしくなることが望ましいから
です。
そのため、仮説の採否の領域は、α<1-βとなるように設定することが望ましいです。
仮説の採否の領域の決め方によっては、α>1-βとなることもあります。これは、「悪いからとい
って棄てて代わりを取ったら、もっと悪かった。」いうようなものです。

採択域:Acceptance region
棄却域:Critical region
採択:Accept
棄却:Reject

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