検定の例4(続2)   「検定」に戻る  前頁

検定結果と推測内容
 図1などにより、次のことが言える。
1、検定仮説が真で、これを採択する確率は、1-α=0.8779(=1-0.1221)。
  これは、検定仮説が真のときに正しい判断をする確率である。
  これは、標本抽出の結果、検定統計量rが採択域に入った場合(r≦5)で、
  「箱の中は赤札1枚と白札2枚からなる。」
  と推測される。
 
2、検定仮説が真で、これを棄却択する確率は、α=0.1221。
  これは、検定仮説が真のときに誤った判断をする確率で、第1種の誤りに当たる。
  有意水準に等しい。真の仮説が捨てられる「危険率」でもある。
  これは、標本抽出の結果、検定統計量rが棄却域に入った場合(r≧6)で、
  「箱の中は赤札2枚と白札1枚からなる。」
  と推測される。

検定仮説が採択されるのは、標本抽出で赤札が5回以下のときであるが、検定仮説が
偽(真でない)のときは、対立仮説が真となるから、対立仮説が採択される確率は、
対立仮説に基づく確率分布において、r≦5となる場合であり、表2、図1から、
0.1221(=0.0000+0.0001+0.0012+0.0075+0.0298+0.0835)となる。
検定仮説の採択が誤りであるというのは、真である対立仮説を採択すべきところを、
誤って検定仮説を採択したもので、よって、次のことが言える。

3、検定仮説が偽であるのに、これを採択する確率は、β=0.1221。これは誤った
  判断をする確率で、第2種の誤りに当たる。
  これは、標本抽出の結果、検定統計量rが採択域に入った場合(r≦5)に生じ、
  「箱の中は赤札1枚と白札2枚からなる。」
  と推測される。

4、検定仮説が偽であって、これを棄却する確率は、1-β=0.8779(=1-0.1221)。
  これは検定仮説が偽のときに正しい判断をする確率で、検定力に当たる。
  標本抽出の結果、検定統計量rが棄却域に入った場合(r≧6)で、
  「箱の中は赤札2枚と白札1枚からなる。」
  と推測される。

検定の精度
以上のことを纏めると、次のようになる。
 検定仮説H0:箱の中は赤札1枚と白札2枚からなる。
 対立仮説H1:箱の中は赤札2枚と白札1枚からなる。

    検定仮説の真偽と採否の確率
   検定仮説    採択      棄却

    真    1-α=0.8779   α=0.1221
                  第1種の誤り
                  有意水準
                  危険率

    偽    β=0.1221     1-β=0.8779
         第2種の誤り   検定力

これにより、「検定の例4」の精度は、「検定の例3」より改善していることが、
理解されよう。標本の規模が5から11に増えたことによる。

(注)対立仮説の真偽・採否は、検定仮説の真偽・採否と排反関係にある。