大久保長安寄進の金灯籠

 青銅板製の金渡金、形状六角形
 中央唐草透かし彫りに、上がり藤の定紋を鋳出
 下方および額庇に宝珠を刻み、その優美な透彫りが3箇所、また透彫りの上に毛彫りがあります。
 実際に神前で釣灯籠として使用し点灯したものと思われて内部は黒々とした油煙におおわれています。
 銘に
 奉寄進豆州松崎大明神
 慶長十四年巳酉十一月吉日
 大久保石見守長安 敬白
 と記されています。(慶長14年=1609年)

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 寄進者石見守は世に有名な時の金山奉行兼伊豆代官として、縄地の金山に敏腕を振るい慶長の大判小判の打ち出しに主役を演じて幕府の財政を豊かにした功労者です。
 慶長十一年から十二年頃、縄地の金山が一時は佐渡をもしのぐ程の金の算出量だったのが衰え始めたため、かつて金鉱がでたという牛原山の麓にある下宮に金山の再興復活を祈り、石見守の身中祈願のために金灯籠を寄進したのです。
当時わが国の金工芸術の技術水準の高かったことを物語り、その精巧さその優秀さが高く評価されています。 静岡県指定文化財。