(3)確率分布の分散、標準偏差など
      Variance, Standard deviation, etc. of probability distribution

 
分散(Variance) 変数と期待値の差の2乗の期待値を分散といいます。    あるいは    変数の2乗の期待値から、期待値の2乗を引いても、同じ結果となります。    どちらの方法によっても構いません。
標準偏差(Standard deviation) 分散の平方根(正の方)です。
変動係数(Coefficient of variation, Relative standard deviation) 標準偏差 を平均で割って求めます。相対標準偏差に当たります。
計算例 1から6までの数字が記されているサイコロを振ったとき、    出た目の金額を貰えるとし、その額の分散などを求めてみます。    ます。各目の出る確率は、等しく 1/6であるとします。 期待値は 3.5でしたから、分散は  (1-3.5)2*1/6+(2-3.5)2*1/6+(3-3.5)2*1/6 +(4-3.5)2*1/6+(5-3.5)2*1/6+(6-3.5)2*1/6 =2.9167 標準偏差は √2.9167=1.7078
変動係数は 1.7078/3.5=0.4880
です。
   −−−−−−−−−−−−−−−−       理論
変数の取りうる値が Xi、そうなる確率をそれぞれ Piとするとき、      Xiと Piの全体からなる一式
X1,X2,....,XK P1,P2,....,PK
を X の確率分布といいます。X の期待値をμと書けば      分散は   (1)
と表わされます。この式は
2=ΣX2P-(ΣXP)2 (2)
と変形できます。式 (1),(2)は数理的に同じで、どちらを使っても構いません。実務では (2)式がよく用いられます。
標準偏差は
σ=√(σ2)
変動係数は
CV=σ/||
です。   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−
期待値の分散の意味と計算手順のまとめ

意味:分散は散布度(2次)の基本的尺度、主に理論で使用。
標準偏差は散布度(1次)の基本的尺度、主に実務で使用。
変動係数は散布度(0次)の基本的尺度、主に実務で使用。

計算手順:1、ΣP=1 を確認する。
2、データから ΣXP, ΣX2P を求める。
3、これらを上式 (2)にあてはめる。
4、分散、標準偏差、変動係数の順に求める。

    練習問題
1998年のサマージャンボ宝くじの賞金額の分布は、次の通りです。 くじを1枚買った時の賞金の分散などを求めなさい。
   等   賞金額     本数   当たる確率    1等   6000万円 120本 0.0000003 1等の前後賞 4500万円 240本 0.0000006 1等の組違い賞 10 万円 11880本 0.0000297 2等 1000万円 120本 0.0000003 3等 100万円 2000本 0.000005 4等 5万円 80000本 0.0002 5等 1万円 400000本 0.001 6等 3000円 4000000本 0.01 7等 300円 40000000本 0.1 ラッキーレジャー賞 50万円 4000本 0.00001 等外 0円 355501640本 0.8887541 ------------------------------------------------------- 計 - 400000000本 1.0000000 (4億本)
(注:くじ1枚は 300円)
[答(計算値) 分散 23.3348(万円2)、標準偏差 4.8306(万円)、変動係数 342.6691]
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