検定の例3(続) 「検定」に戻る 前頁 次頁
次に対立仮説に対しては、
1回の抽出で赤札が出る確率は2/3、
1回の抽出で白札が出る確率は1/3
となる。このことから、rの確率分布は2項分布となる。
表2及び図1の灰線のようになるが、その基礎となる数値は次のように算出される。
赤札が出る回数をr、白札が出る回数をwとすれば、赤札がr回、白札がw回出る確率は、
5Cr(2/3)r(1/3)w,r+w=5,r=0,1,2,3,4,5
となるから、具体的には
5C0(2/3)0(1/3)5=0.0041
5C1(2/3)1(1/3)4=0.0412
5C2(2/3)2(1/3)3=0.1646
5C3(2/3)3(1/3)2=0.3292
5C4(2/3)4(1/3)1=0.3292
5C5(2/3)5(1/3)0=0.1317
となる。表2の確率分布表は、これに基づいている。
表2 対立仮説に基づく赤札、白札の出る回数の確率分布表
赤札が出る回数 白札が出る回数 出現確率
(r) (w) (p)
0 5 0.0041
1 4 0.0412
2 3 0.1646
3 2 0.3292
4 1 0.3292
5 0 0.1317
計1
( 図1)
●仮説の採否の領域
採択域A:赤札が1回以下の場合。即ち、確率分布におけるr≦2の領域。
棄却域R:赤札が2回以上の場合。即ち、確率分布におけるr≧3の領域。
(図1参照)
[解説]検定仮説によれば、標本は赤札の方が出にくいから、赤札が多く出れば標
本と検定仮説の関係が尤もらしくなくなる。そこで、ここでは赤が3回以上
出たとき検定仮説を棄却し、赤が2回以下のとき、検定仮説を採択すること
としたものである。仮設の棄却、採択の領域の決め方は、これに限らないが、
ここでは、例としてこう決めたものである。
●有意水準
この場合、有意水準はα=0.2098(=0.1646+0.0412+0.0041)(表1より)となる。
[解説]有意水準は、次のように理解する。
「標本の赤札が3回以上になることは、検定仮説に基づくそうなる確率0.2098から
して、起き易いこととは考えにくい。然るに実際に起きたとすれば、確率0.2098
によるものではなく、仮説とは別の、これを起き易くする何らかの原因があると
考える。」
このように、有意水準は、標本の出現と検定仮説が両立する(しない)と
判断するための確率的水準を示すものである。