検定の例2(続)   前頁  次頁

 次に対立仮説に対しては、
  1回の抽出で赤札が出る確率は2/3、
  1回の抽出で白札が出る確率は1/3
 となる。このことから、rの確率分布は2項分布となる。
 表2及び図1の灰線のようになるが、その基礎となる数値は次のように算出される。

    赤札が出る回数をr、白札が出る回数をwとすれば、赤札がr回、白札がw回出る確率は、
   3Cr(2/3)r(1/3)w,r+w=3,r=0,1,2,3
  となるから、具体的には
   3C0(2/3)0(1/3)3=0.0370
   3C1(2/3)1(1/3)2=0.2222
   3C2(2/3)2(1/3)1=0.4444
   3C3(2/3)3(1/3)0=0.2963

  となる。表2の確率分布表は、これに基づいている。

    表2 対立仮説に基づく赤札、白札の出る回数の確率分布表
   赤札が出る回数  白札が出る回数  出現確率
     (r)        (w)      (p)
      0                  3             0.0370
           1                  2             0.2222
      2                  1             0.4444
           3                  0             0.2963
                                         計1
       ( 図1)
        
仮説の採否の領域
 採択域A:赤札が1回以下の場合。即ち、確率分布におけるr≦1の領域。
 棄却域R:赤札が2回以上の場合。即ち、確率分布におけるr≧2の領域。
                       (図1参照)
 [解説]検定仮説によれば、標本は赤札の方が出にくいから、赤札が多く出れば標
   本と検定仮説の関係が尤もらしくなくなる。そこで、ここでは赤が2回以上
   出たとき検定仮説を棄却し、赤が1回以下のとき、検定仮説を採択すること
   としたものである。仮設の棄却、採択の領域の決め方は、これに限らないが、
   ここでは、例としてこう決めたものである。


有意水準
 この場合、有意水準はα=0.2592(=0.2222+0.0370)(表1より)となる。
 [解説]有意水準は、次のように理解する。
  「標本で赤札が2回以上になることは、検定仮説に基づくそうなる確率0.2592
  から、どちらかといえば起きにくいことと考える。然るに実際に起きたとすれ
  ば、確率0.2592によるものではなく、仮説とは別の、これを起き易くする何ら
  かの原因があると考える。」
    このように、有意水準は、標本の出現と検定仮説が両立する(しない)と
    判断するための確率的水準を示すものである。