第2種の誤り

「第2種の誤り」は、対立仮説に関係します。検定仮説が真のとき、検定仮説は採択されるか
棄却されるかのいずれかであり、棄却される確率が第1種の誤りでした。

一方、検定仮説が採択されるとき、検定仮説が真ならば、その確率は1-αであり、これは
正しい判断になります。しかし、検定仮説が偽(真でない)のときは、その判断は正しくあ
りません。即ち、真でない仮説を採択することとなります。その確率を第2種の誤りといい、
通常βで表わします。

βは理論上 0〜1 の値をとることができます。

検定仮説が偽のときは、対立仮説が真となりますから、第2種の誤りは、対立仮説に基づく
検定統計量の確率分布の上で、検定統計量が採択域に入る確率に当たります。

これらのことから、βは小さいことが望ましいように思われますが、標本抽出の仕組みや規模、
仮説の採否の領域の決め方、検定仮説の内容や第1種の誤りαとの関係などによって、βは小さ
過ぎると無意味になることがあります。αとのバランスが必要であり、程ほどの大きさが適切
です。

検定においては、2つの誤りαとβが共に小さいことが望ましいのです。しかし、標本抽出な
どの条件を固定すると、αとβを同時に小さくすることは、通常できません。一方を小さくす
ると、他方が大きくなるという関係になります。

(第2種の誤りの易しい理解の例)
「例えば、第2種の誤りがβ=0.1のとき、同じ検定を100回繰り返すと、偽の検定仮説が10回
ほど採択され、90回ほど棄却される。」

第2種の誤り:Error of second kind

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