検定の例5(続)   「検定」に戻る    前頁  次頁

 次に対立仮説に対しては、
  1回の抽出で赤札が出る確率は2/3、
  1回の抽出で白札が出る確率は1/3
 となる。このことから、rの確率分布は2項分布となる。
 表2及び図1の灰線のようになるが、その基礎となる数値は次のように算出される。

    赤札が出る回数をr、白札が出る回数をwとすれば、赤札がr回、白札がw回出る確率は、
   21Cr(2/3)r(1/3)w,r+w=21,r=0,1,2,3,...,21
  となるから、具体的には
   21C0(2/3)0(1/3)21=0.0000
   21C1(2/3)1(1/3)20=0.0000
   21C2(2/3)2(1/3)19=0.0000
   21C3(2/3)3(1/3)18=0.0000
   21C4(2/3)4(1/3)17=0.0000
   21C5(2/3)5(1/3)16=0.0000
   21C6(2/3)6(1/3)15=0.0003
   21C7(2/3)7(1/3)14=0.0014
   21C8(2/3)8(1/3)13=0.0050
   21C9(2/3)9(1/3)12=0.0144
   21C10(2/3)10(1/3)11=0.0345
   21C11(2/3)11(1/3)10=0.0691
   21C12(2/3)12(1/3)9=0.1151
   21C13(2/3)13(1/3)8=0.1594
   21C14(2/3)14(1/3)7=0.1821
   21C15(2/3)15(1/3)6=0.1700
   21C16(2/3)16(1/3)5=0.1275
   21C17(2/3)17(1/3)4=0.0750
   21C18(2/3)18(1/3)3=0.0333
   21C19(2/3)19(1/3)2=0.0105
   21C20(2/3)20(1/3)1=0.0021
   21C21(2/3)21(1/3)0=0.0002

  となる。表2の確率分布表は、これに基づいている。

    表2 対立仮説に基づく赤札、白札の出る回数の確率分布表
   赤札が出る回数  白札が出る回数  出現確率
     (r)        (w)      (p)
      0                 21             0.0000
           1                 20             0.0000
      2                 19             0.0000
           3                 18             0.0000
      4                 17             0.0000
           5                 16             0.0000
      6                 15             0.0003
           7                 14             0.0014
      8                 13             0.0050
           9                 12             0.0144
     10                 11             0.0345
          11                 10             0.0691
     12                  9             0.1151
          13                  8             0.1594
     14                  7             0.1821
          15                  6             0.1700
     16                  5             0.1275
          17                  4             0.0750
     18                  3             0.0333
          19                  2             0.0105
     20                  1             0.0021
          21                  0             0.0002
                                         計1
       ( 図1)
        
仮説の採否の領域
 採択域A:赤札が10回以下の場合。即ち、確率分布におけるr≦10の領域。
 棄却域R:赤札が11回以上の場合。即ち、確率分布におけるr≧11の領域。
                       (図1参照)
 [解説]検定仮説によれば、標本は赤札の方が出にくいから、赤札が多く出れば標
   本と検定仮説の関係が尤もらしくなくなる。そこで、ここでは赤が11回以上
   出たとき検定仮説を棄却し、赤が10回以下のとき、検定仮説を採択すること
   としたものである。仮設の棄却、採択の領域の決め方は、これに限らないが、
   ここでは、例としてこう決めたものである。


有意水準
 この場合、有意水準はα=0.0557(=0.0345+0.0144+0.0050+0.0014+0.0003+0.0000)
 (表1より)となる。
 [解説]有意水準は、次のように理解する。
  「標本の赤札が11回以上になることは、検定仮説に基づくそうなる確率0.0557から
  して、起き難いことと考える。然るに実際に起きたとすれば、確率0.0557 による
    ものではなく、仮説とは別の、これを起き易くする何らかの原因があると考える。」
    このように、有意水準は、標本の出現と検定仮説が両立する(しない)と
    判断するための確率的水準を示すものである。