チェビシェフの不等式

チェビシェフの不等式は、確率変数が、その期待値の周りの一定範囲内(外)に実現する確率を評価する式です。
確率変数を、その期待値をθ、標準偏差をσ()、任意の正数をkとするとき、チェビシェフの不等式は、
P(|-θ|<kσ())≧1-1/k2  (1)
あるいは
P(|-θ|≧kσ())≦1-1/k2  (2)
と表わされます。



曲線下の全面積は1

曲線下の白い部分が式(1)の領域、 面積は1-1/k2以上

曲線下の灰色の部分が式(2)の領域、 面積は1-1/k2以下
チェビシェフの不等式は、期待値や分散が存在する任意の分布に対して成り立ちます。 チェビシェフの不等式(1)を簡単に言葉で言えば、例えば 「確率変数を多数回独立に実現させたとき、全実現値のほぼ3/4(75%)以上が期待値の周り標準偏差の2倍以内に入る。」 となります。 チェビシェフの不等式は、分布の形が定まると、不等号(カッコ外)を等号に変えることができます。 例えば、正規分布に対しては、k=2で、(1)式の左辺が約 0.95 となります。 チェビシェフの不等式は、区間推定の仕組みを理解するのに役立ちます。 チェビシェフの不等式:Chebyshev's inequality

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