検定の例1(続)   前頁  次頁

 次に対立仮説に対しては、
  1回の抽出で赤札が出る確率は2/3、
  1回の抽出で白札が出る確率は1/3
 となる。このことから、rの確率分布は2項分布となる。
 表2及び図1の灰線のようになるが、その基礎となる数値は次のように算出される。

    赤札が出る回数(0か1)をr、白札が出る回数(1か0)をwとすれば、赤札がr回、
  白札がw回出る確率は、
   1Cr(2/3)r(1/3)w,r+w=1,r=0,1
  となるから、具体的には
   1C0(2/3)0(1/3)1=0.3333
   1C1(2/3)1(1/3)0=0.6667
  となる。表2の確率分布表は、これに基づいている。

    表2 対立仮説に基づく赤札、白札の出る回数の確率分布表
   赤札が出る回数  白札が出る回数  出現確率
     (r)        (w)      (p)
      0                  1             0.3333
           1                  0             0.6667
                                         計1
       ( 図1)
        
仮説の採否の領域
 採択域A:赤札が出ない場合。即ち、確率分布におけるr=0の領域。
 棄却域R:赤札が出る場合。即ち、確率分布におけるr=1の領域。
                       (図1参照)
 [解説]検定仮説によれば、標本は赤札の方が出にくいから、赤札が出れば標本と
   検定仮説の関係が尤もらしくなくなる。そこで、ここでは赤が出たとき検定
   仮説を棄却し、赤が出なかったとき、検定仮説を採択することとしたもので
   ある。仮設の棄却、採択の領域の決め方は、これに限らないが、ここでは、
   例としてこう決めたものである。


有意水準
 この場合、有意水準はα=0.3333(表1より)となる。
 [解説]有意水準は、次のように理解する。
  「標本の札が赤になることは、検定仮説に基づくそうなる確率0.3333からして、
  どちらかといえば起きにくいことである。然るに実際に起きたとすれば、確率
  0.3333によるものではなく、仮説とは別の、これを起き易くする何らかの原因
  があると考える。」
    このように、有意水準は、標本の出現と検定仮説が両立する(しない)と
    判断するための確率的水準を示すものである。