尖度
(2)度数分布の尖度 Kurtosis of frequency distribution
尖度は、データが平均の回りに集中している度合いを示す尺度です。分散や標準偏 差も類似の尺度ですが、次元が異なります。各データの、平均からの偏差をもと にして測ります。
尖度は、分布について平均や分散以外の特性を知りたい場合などに利用されます。 尖度には、単位呼称はありません。
尖度は、分布図の視覚による尖りの度合いとは必ずしも一致しません。 −−−−−−−−−−−−−−−− 理論
変数とその度数が
X1,X2,....,XK f1,f2,....,fK
と表されているとします。 度数分布表が、幅のない階級からなっているときは、Xiをそのまま計算に使います。
度数分布表が、幅のある階級からなっているときは、Xiを各階級の代表値として設 定した上で計算に使います。
この分布の平均をμ、標準偏差をσとするとき、尖度は
γ2=Σfi(Xi-μ)4/(Fσ4) (1) Fは各fiの合計、Σはiについて1からKまで合計する意味。
となります。なお、式(1)は、次のように表すこともできます。
γ2={(ΣfiXi4)/F-4μ(ΣfiXi3)/F+6μ2(ΣfiXi2)/F-3μ4}/σ4 (2)
式(1)と(2)は数理的に同じで、どちらを使用しても構いません。 データが多いときは、式(2)が意外に便利です。
尖度を求めるには、予め総度数、平均、標準偏差の値を用意する必要があります。
尖度は、必ず1より大きくなります。
正規分布の尖度が3となることから、これを基準として、上式のγ2から3を引いた ものを尖度と定義する場合もあります。尖度を取り扱うときは、常に定義に注意 しましょう。 ------------------------------------- 計算例
F氏宅の60日間の電話の呼数の分布が、次表の通りのとき、 1日の呼数の尖度を求めます。
1日の呼数 X 日数 f 0 5 1 8 2 10 3 12 4 9 5 7 6 4 7 3 8 1 9 1       ------------------- 計 60
先ず、このデータより F=60, Xの平均はμ=3.283'、標準偏差はσ=2.0983459 となります。次に ΣfiXi2=911, ΣfiXi3=4997,ΣfiXi4=30863を得て、 これらを式(2)にあてはめると
γ2=(30863/60-4*3.283'*4997/60+6*3.283'2*911/60-3*3.283'4)/ 2.09834594=2.7872
となります。 -----------
尖度の意味と計算手順のまとめ

意味:集団の平均の周りの集中度。分散などとは別次元。

計算手順:1、総度数、平均、標準偏差を求める。
2、ΣfiXi2, ΣfiXi3, ΣfiXi4を求め、上式 (2) にあてはめる。
練習問題
G氏の週ごとの晩酌の頻度は下表の通りです。 晩酌回数の尖度を求めなさい。
回数 X 週の数 f 0 1 1 5 2 7 3 14 4 13 5 8 6 3 7 1 ---------------- 計 52
ヒント:先ず、総度数、平均、標準偏差を求め、次にΣfiXi2, ΣfiXi3, ΣfiXi4を求めて、 式(2)にあてはめます。 [答 尖度 γ2=2.7107]

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