変数変換による計算

(1)平均の計算
変数の値が一様に大きかったり、ある数の倍数であったりするとき、計算が煩わしくな ることがあります。そのような場合、変数にある定数を加減したり、変数をある定数 で乗除すると、変数の桁が少なくなるなど、値が簡単になる場合があります。
その場合、簡単になった値に対して所要の計算をしてから、先に用いた定数で逆算する と、目的の計算値を求めることができます。
このようにして、変数の値を変えることを、変数変換といいます。変数の加減乗除に用 いる定数は、任意で構いませんが、選択の仕方によっては、計算が一層面倒になるこ とがあります。 ------------------------------------------- 計算例
 変数 Xの値を
10025,10030,10020,10015,10005
とし、これらの平均を求めるのに、各値は一様に 10000に近いので、各値から 10000 を引くと、各値は
25,30,20,15,5
となります。これらは皆 5の倍数ですから、これらを 5で割ると
5.6.4.3.1
となります。これらの値を Yで表わせば、Yは元の変数 Xに対して
Y=(X-10000)/5
という変換を行ったことになります。 そこで、Yについて平均を求めますと、
μY=3.8
となります。
次に、X の平均を求めるため、先に用いた定数 5と10000によって逆算します。すな わち Xの平均は、
μX=5*μY+10000=10019
となります。
------------------------------------------ 理論
変数 Xに対して、適当な定数 a,b(≠0)をとり、
Y=(X-a)/b
とおくとき、これを Xの1次変換といいます。
Xは個別データであっても、度数分布の変数であっても構いません。
aを、Xの平均に近い値と想定するとき、aを仮想平均ということがあります。
平均に関する変数間の関係は、
μY=(μX-a)/b
となります。
これにより、Xの平均を逆算すると、
μX=b*μY+a
となります。
なお、
Y=X/c-d
の形で変数変換をしたときは、逆算は
μX=(μY+d)*c
で行ないます。
上の理論は、任意の a,b(≠0),c(≠0),dで成り立ちますが、a,b,c,dの選び方に よっては、計算が楽にならないことがあります。 ----------------------------------- 練習問題
  次のデータは、ある理髪店の料金別客数の統計です。単価の平均は幾らですか。
    1500円  61人 1700 92 2000 37 2200 20 2400 15
ヒント:度数分布表の形になっていますが、変数変換を行った後、度数を用いて       平均を計算し、逆算して答を出します。用いる定数は、例えば a=2000, b=100 でよいでしょう。      [答1786(円)]
 

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