平均

(8)度数分布の幾何平均(加重幾何平均) Weighted geometric mean(average)
  加重幾何平均は、全データの加重相乗積の同次乗根です。   データの対数をとり、その加重算術平均を求め、その逆対数をとっても同じ    結果が得られます。   データは、ここでは全て正の値とします。   加重幾何平均は、同じデータの加重算術平均より小さくなります。   加重幾何平均は、データのばらつきが小さいほど、同じデータの加重算術平均に近く なります。
   計算例 次表は、ある果樹園から1季節に出荷された桃の     重さ(g)の分布です。(階級は、以上−未満)
       階級  代表値  個数      160g-170g 165g   93 170 -180 175 165 180 -190 185 252 190 -200 195 318 200 -210 205 355 210 -220 215 293 220 -230 225 176 230 -240 235 132 240 -250 245 84 ------------------------------ 計 - 1868
     桃1個当たりの重さの幾何平均は、先ず対数平均として
     (93*Log165+165*Log175+252*Log185+318*Log195+ 355*Log205+293*Log215+176*Log225+132*Log235+ 84*Log245)/1868=5.30977
よって求める幾何平均は
e5.30977 =202.3043=202(g)
となります。 参考:算術平均 203.3298=203(g)
-----------    理論
K個のデータ X とそれぞれに対応する度数 f が
X1,X2,....,XK f1,f2,....,fK
であるとき、X の加重幾何平均を Gで表わすと
       G=(X1f1 X2f2,....,XKfK)1/F Fは各 fiの合計
となります。
     あるいは、対数をとって
      LogG=(f1LogX1+f2LogX2+,....,+fKLogXK)/F (a)
とすれば、LogGは数値となるので、同じ底(てい。ここでは e=2.71828) の指数をとり
       G=eLogG (b)
     が求める幾何平均となります。 -----------
意味と計算手順のまとめ

意味:集団の代表値の一種

計算手順:1、データから F, ΣfLogX を求める。
2、これらを上式 (a)にあてはめる。
3、その結果を (b)式にあてはめる。
注意:データ(Xi)の中にゼロや負数が含まれてい るときは、幾何平均は計算しない。
練習問題
年利 6% で 3年間、続いて年利 5% で 3年間、続いて年利 4%で 4年間預金し たとき、10年間の平均年利および元金を100万円としたときの10年間の元利合 計額を求めなさい。(複利)
[答 平均年利 0.0489671, 元利合計額 161万2941円]
ヒント:平均年利は、幾何平均を使って求めますが、変数は元利の対前年比と します。そのため、各利率に1を加えて幾何平均をとります。     平均年利を r とすると、次の式が成り立ちます。      (1+0.06)3(1+0.05)3(1+0.04)4=(1+r)10  これより 1+r={(1+0.06)3(1+0.05)3(1+0.04)4}1/10     として rを求め、その rを用いて       100(1+r)10 を計算すれば、それが元利合計額です。   

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