質問4 (標準偏差と標準誤差の違い)標準偏差と標準誤差はどう違うのですか。

答 両者とも集団(変数)内のばらつきを測る尺度です。
1つの集団が、変数Xから構成されているときXは普通、分散を持ちます。
その集団の標準偏差はその分散の平方根です。

1つの集団が標本から構成されているとき、上記の方法で標準偏差を求めると、
その標準偏差は、その標本を構成単位とする集団の標準偏差となります。
一式の標本が関数でまとめられると、1つの統計量(標本平均、標本分散など)
ができます。この統計量を母集団のある値(パラメータ)の代わりに用いるとき、
その統計量を、そのパラメータの対する推定量といいます。標本の中味が替
われば推定量の値も変わります。その全ての可能な推定量からなる集団を考
えると、その集団に平均、分散、標準偏差などがある筈です。特に平均が前述
のパラメータに一致するとき(不偏性)、その推定量の標準偏差を、その推定
量の標準誤差といいます。
 このように、標準誤差は標準偏差の一種ですが、標本に基づく不偏推定量
によって構成される集団に対する標準偏差です。

例 大きさnの標本を無作為(等確率)に抽出して、それらの値をX1,X2,X3,
...,Xn、これらを代表してXと表わせば、Xの標準偏差はこのn個に対す
るもので、普通の標準偏差です。一方、母集団の平均をμ、各Xiの平均を
Y=(嚢i)/n とすると、Yはμの不偏推定量になります。Yは一式の標本ごとに
1個の値となるので、標本抽出を何回か繰り返すと、その都度Yの値が
決まります。その全ての値からなる集団を想定したとき、その集団の標準偏差が
(Yの)標準誤差です。Xの標準誤差とはいいません。標準誤差は条件が揃えば
数値で表わすことができます。

数値例 大きさ5の標本を無作為(等確率)に抽出して、それらの値を2,3,4,5,6
、これらを代表してXと表わせば、Xの標準偏差はこの5個に対するもので、1.41
となります(分散の分母は5)。一方、母集団の平均をμとすると、各Xiの平均は
Y=(嚢i)/n=(2+3+4+5+6)/5=4 はμの不偏推定量になります。Yは一式の標本
ごとに1個の値となるので、標本抽出を何回か繰り返すと、その都度Yの値が
決まります。その全ての値からなる集団を想定したとき、その集団の標準偏差が
(Yの)標準誤差です。Xの標準誤差とはいいません。標準誤差は条件が揃えば
数値で表わすことができます。

(明星大学教授 船津好明)