雲見入谷の富士山

 私は、かなりの「富士山マニア」だと自負している。野良仕事を終えて夕刻近く「高通山」へ登ったり、強風の中を「雲見浅間」頂上に登り、振り落とされそうになりながら、カメラのシャッターを切る。そして「雲見以外」でも「長者ヶ原」、「三浦遊歩道」、「石部・棚田」、「室場」、「牛原山」など、一通り撮影ポイントは把握しているつもりである。でも、これは車所有の数年前の話で、今は徒歩ないしバスで、数えるほどしか富士山が撮せない。
◎川勝県知事は「富士山」にご執心である。「富士山の日」、「富士山世界文化遺産登録」、「ふじの国構想」など、富士山を売り物に、世界に静岡県を売り出す心が見え見えである。
◎私は、この「富士山の日」にちなんで、松崎町を大々的にアピールしたいと思う。例えば町民でも、役場職員でも、カメラを一日持ち出し「松崎富士山36景」でも撮して展示する戦略である。たいして経費もかからず、全国いや世界へ飛躍する絶好のチャンスである。だが、今年の「富士山の日」は日曜日であったが、カメラを持ち出す町民には出会わなかった。
◎このたび「ここしかない富士山の眺め:サイト」を船津好明様に立ち上げていただいたこと、うれしい限りである。その視点で本を読み返すと「雲見講」なるものが組まれ、遠州の地から「雲見浅間」に参詣されているのだ。崇拝の的であったことである。
◎これなど、各方面に知らせてあるが、一向にメディアに取りあげる気配がない。感動という「目利き」人間がなくなってしまったということだ。
◎それはさておき、「ここしか…」の手伝いのため、4日午後、雲見まで富士山を撮りに行こうとする。伊豆の長八美術館前バス停で待っていると、 知人が車でで通りかかる。そして停め「私を雲見まで連れて行ってくれる」という。その言葉に甘え、以前より撮りたかった富士を右、浅間を左にする「雲見入谷」までお願いした。富士山の見える個所は入谷バス停よりかなり上である。狭い道なので対向車がくると難儀しそうだが、対向車はなくてほっとする。
◎私としてはオートキャンプ場前で降ろしてもらいたかったが、知人はサービス過剰で、数百b地点で私を降ろす。彼とはそこで別れ、私は写真を撮りながら下りていく。千貫門、雲見浅間、田子島を借景とする富士山を撮る。  写真   
◎ そして本命の「オートキャンプ場」の受付に声をかける。ここは車でなくても入場料200円を支払わなくてはならない。でも、人の気配もなく諦める。
◎そして谷間のような景色が楽しめない坂道をくだる。なかなか村里にたどり着かない。帰りのバスの時間も気にかかる。焦りながら、歩いたことのない道を行くのは不安なものである。辛うじてバス到着寸前に「雲見浜バス停」に到着する。
◎バスに乗り込みほっとするが、またもや「マニア病」が再発する。途中の「萩谷」で下車する。そして歩き始める。ややすると「堂ヶ島」上の富士山が撮れる個所があり、それを堪能し、初冬の松崎町の風景を撮りながら、自転車が置かれる「伊豆の長八美術館」に到着する。約2時間、膝痛もなく、至福の時間が過ごせたことに感謝する。駿河湾の青さを前にする「富士山」の光景、松崎町が世界一だと自慢したいのである。 松本晴雄 記