伊那下神社献詠歌まき9

昭和七年     至 誠

益良夫がこめし誠の一筋に石に立つ矢のためしこそあれ

やがて世のまよひもはれむ我国の進む誠の道の直きに
                           
武士(もののふ)の命惜まで国のため
            尽くす誠ぞ尊とかりける

国々の緒ふ盟の誠ゆらぐとも誠のはれぬ世とてあるべき

何事も神に耻ざる行は人の心のまことなりけり

よしあしと人はいへども天地の
         神やしるらん誠一ろは 
                           
身はかろく命をしまづつくすこそ人の心の誠なりけれ

誠なる道は一すじ佛にも神にもかよふただ人の道

天地を貫く誠鬼神もひしぐは人のまことなりけり
                           
かむながら傳ふる道の誠こそ大和心の基なるらめ

みずからの心あざむくことなくて身を守るべし誠一ろに

言の葉のままにすなわち行ふは誠の道のいたりなるらむ

一すじに皇国を思ふまごころは我日の本の光なりけり

命より尚尊きはまこともてみ国につくす心なりけり

罪けがれ祓ひきよめて霊幸神にささげむ我真心を
     人皆のふむべきものは一筋の誠のみちの外なかりけり
                           
国のため軍の場に立つ人はむかしながらの日本男心

何事を成すにつけても貫くは只一筋の誠なりけり

誠はしこむる言葉は国千度
      人に語れど変らざりけり

今の世は人の心と慈みゆく
        もたまほしきは誠なりけり
                           
敷嶋の大和島根の掟なる誠は人の寶なりけり

軍人しばしのほども忘れざる誠は国の護りなりけり

何事も世のためにぞとて勤めたる誠はおのが身を照らすなり