伊那下神社献詠歌まき8

昭和六年      満 州 事 変

憂きの世ぞ我同胞を唐人はむごたらしくも苦しめにけり

何事ぞ我国人を苦しめていざひいどむ唐の人ども

十来ごとに銃を枕に満州の荒野を照らす月を見んとは

隣り相ひてへだて心のさかしきは
        何時の世からの恨みなるらん          
秋深き海山越えて唐土の野に戦ひいどむ大和男の子ら

唐国のいわなきわざをいきどほり皇国の守る益荒男のとも

千万のすてし血しほの勲しをあだになだめせぞおおまへつき

たけり猪のあだなすあだをうちはらひ
           高くかかぐる日の丸の旗

から国の鉄路のはても今に世に御綾威かがやく日の御旗かな

人の道ふまぬから人こらさんとみさくる空に弓張りの月

満州の権益をぞまもる皇軍の力にただす人の道かな

久方の空はへだてもなきものを心へだつる支那の国人

韃靼の国原あれてわきたつる雲をば拂へ伊勢の神風
                           
定めおきし誓約をやぶる支那人を訓へ正さん砲の響きに

満州の野辺のしこ草はびこりてかりはらはふむ日本丈夫
さしのぼる我日の本の旗風になびきふすらむしこのしこくさ

しこくさのかりてもつきぬ満蒙の荒野を開く時ぞ来にける