伊那下神社献詠歌まき2

 大正十四年 社頭燈火

榊葉の露も光りてともし火の
いてりかがやく日の前の森   

天霊幸(たまちはふ)神のみむろのともし火は
心の真のやみもてらさむ
  
廣前(おおまえ)の燈火ふけて神路山
           杜の鉾杉風わたるなり

真榊(まさかき)のかげさへ見えてみたらしに
  神代ながらの燈火のかげ

 池水の岩も木立も燈火に光をそふる杜の神垣

 大前の御簾をかかくる宮人のさまもかしこし燈火のかげ

 小夜ふけて火かげさむけし真榊の
   露も光れる伊那の神垣    

 神さびし銀杏の大木黄葉して燈火きよし伊那の神垣

 みまつりの道のしるべに打つづく
   賀茂の社のよひのともし火

 みあかしに電の灯てりそひてかみの御苑ぞかしこかけり

                  千歳へし大木の銀杏黄葉して燈火清し伊那の神かき

 みたらしを照すやしろの燈火に
       神のみいつもさやに見えけり

 御鏡に写る燈火さやかにてみいつ尊き伊那の御社

 御手洗しにかげをうつして灯火の光りも清し神の大前